「風と水の流れる里」の理念説明
「自然を守ろう」と言いますが、人は自然に守られてこそ生きていける存在であると、つくづく感じるこの頃です。この「風と水の流れに学ぶ環境づくり」を提唱しておられる矢野智徳さんは、私たちが壊していく自然を何とか修復しようと日夜奮闘しておられる庭師さんです。
「水は空気と共に動く」という当たり前の概念が、現代の土木から忘れ去られているために、土の中の空気の流れを分断するような、コンクリートの工事が行われています。それが原因で川や森や大地が傷んできて、崖崩れなどが頻発するような土壌になっていると警告しておられます。矢野さんの工法である、炭や草や木の枝など、自然素材を使った大地の呼吸をとりもどす作業は、とても地味で華々しさはありませんし、なかなか理解してもらえません。しかし、私たちの住んでいる大地や、その上で生きる生物たちは、きっとこの土木工事を待っていると思います。
今、矢野流土木のプロフェッショナルが各地に誕生して、矢野さんがお元気なうちにその技術を継承していきたいと切に願っています。この技術は大規模な土地開発だけでなく、森林整備や建築、増援、農業、住環境など人々の暮らしと密接に関わる分野で活かされることと思います。