岡野屋旅館プロジェクト 2.33

　岡野屋旅館は明治時代に、表は勝山町並み保存地区、裏は旭川に接する美しい景観に建てられ、地元の人々から「岡野屋さん」親しみを込めて呼ばれていました。
当初は高瀬舟水運の船宿として、やがて鉄道や自動車の時代になると、地域の日常の集いの場や遠方からの客人を迎える場、そして、結婚式やお祝い事の行われた思い出の場として、地域と呼吸を合わせて営まれていましたが、2003年、多くの記憶が刻み込まれた旅館は閉館。
旧「岡野屋旅館」は勝山の人々にとって、長く「再生」が待ち望まれてきた建物のひとつです。

　岡野屋旅館プロジェクトは2010年からスタートし、有志で出来る範囲での旧「岡野屋旅館」建築の修復や保存とともに、多様な感性の往来の場として、地域住民•作家•参加者が活動を共有しながら展開していくアート・ワークを続けています。

　舞台となる勝山は城下町でもあり、一方で出雲街道や高瀬舟水運による人、物、情報、そして文化の往来する宿場町でもありました。今なお、地域性にとらわれない新しい風を楽しみにする土壌があります。
　「岡野屋旅館プロジェクト」では、勝山の持つ歴史的背景をどう解釈するかは参加アーティストの感性に任せています。
そして、訪れる方、地域の方、アーティストが、現代の等身大の感性で語り合える場づくりを目指しています。