Roger's Worldwide Fashion Import Select Shop 3.61

つい先日、ある巨匠が目にした1959年の沖縄各地の写真をみることができました。薄手の着物をまとう人々、雑然とした亜熱帯の草原、荒削りで朴訥な当時の沖縄の景色が四方の壁を埋め尽くしていました。その中で一枚、タイトスカートとパンプスを履いた、おそらく沖縄女性が英字看板の建物前を歩く写真をみつけました。タイトルは「コザ」。その一枚は異国というよりもむしろ異星の風景のよう。プラザハウスが誕生したのはあれから遡ること5年、1954年の夏の日。焼け野原にカクテルドレス、砂利道にキャデラック、輝き放つ舶来品。これほどにも異質の存在が沖縄の老舗として年月を重ね、沖縄の歴史の一部となることを当時、誰が予測しえたでしょうか。沖縄で育ってきたロージャースは、すこしずつ家族を増やし、友を得て、それこそ多くの愛に支えられながら、いつしか地域と共に時を重ね、たくさんの思い出を紡いでまいりました。あらためてその出会いのすべてに感謝の気持ちが溢れます。創業祭を前に私たちにとっての”原点回帰”は、異彩を放ったあのコザの衝撃、存在感のインパクト。例えば不思議の国のアリスが迷い込んだときのワクワク感。あるいは黒船の目撃が龍馬の人生を切り開いたような衝撃的な出会いでしょうか。少し大げさだけど、ファッションアントレプレナーシップを胸に、”豊かさ”や”贅沢”という表現ではおさまりきれない価値をご提供できる場所でありたいと思いを新たにしています。