感染症のフィールドは、個人の患者の健康の問題から地域・医療施設内の問題へ、そしてグローバルレベルへと大きく広がっています。個別の疾患の診断治療のみならず、予防・公衆衛生的な対策まで対象は多岐にわたります。感染症の問題に適切に対応するには、こうした諸要素間の相互の連関を見据えた包括的な取り組みが必要です。国際感染症センター(DCC)では1) 臨床感染症のclinical referral centerとして機能する、2)感染症領域の人材育成/トレーニングへの注力、3) 情報の発信源となりネットワーキングに努める、4)国内外の感染症の研究拠点となる、5)実地疫学の実践の5つを活動の柱に据え、国内・国外の感染症に関す包括的・多面的・先進的な取り組みを行っています。
DCC内には3部門が存在し、感染症内科は診療科横断的な感染症コンサルテーションおよび輸入感染症・一般感染症の入院・外来診療を行い、トラベルクリニックは渡航者の渡航前から帰国後までの健康管理のため、健康診断や予防接種、慢性疾患管理指導、帰国後診療等を行っています。国際感染症対策室は新興・再興感染症の現地調査,診断・治療などを行い,医療従事者に研修会や情報を提供することでわが国の感染症対策に貢献しています。
当院は国内で3カ所指定されている特定感染症指定医療機関の一つとして新感染症病棟を有し、DCCが管理を担当しています。医療関連感染対策 では院内ではICTに参加し活動を担い、地域医療機関とネットワークを形成し実践的な取り組みを行っています。研究活動では多施設共同研究を含む臨床研究、輸入感染症の診断治療、ベトナム拠点での医療関連感染症研究に加え、研究所において遺伝子検査を中心に臨床微生物学的研究を行っています。また2013年1月には実地疫学の専門職(国際感染症対策専門職)を迎え、実地疫学部門の充実に力を入れています。