明治四十四年創業以来、松濤館からの富士の眺めは天下の絶景と
云われておりました。
近くに国立近代美術館初代館長長岡部長景氏の別荘があったことにより
この秀逸な富士の景観は高松宮をはじめ、吉田茂首相、志賀直哉、武者小路実篤
ら各界の名士に広く知られるところとなりました。
富士をテーマに多くの名作を残された梅原龍三郎画伯もその一人。
毎年、空きに来館されて二~三ヶ月逗留されたもので、
ここで描かれた作品も少なくありません。
また、富士の写真家・岡田紅陽氏も松濤館とは縁浅からぬ方でした。
まさに天下の絶景が多くの文人墨客をひき寄せたといえるわけです。
富士を見、語る上でここからの眺めを外すことはできません。